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話題のドラマなので見てみた。といっても1974年公開の映画版である。
佐分利信(万俵大介)、仲代達矢(万俵鉄平)、京マチ子(高須相子)、田宮二郎(美馬中)、二谷英明(三雲祥一)、錚々たるキャストだ。私の好きな女優である酒井和歌子(万俵二子)が出ていたのもうれしい。 華麗なる一族は華麗なまま終わるのか?と疑問を持ったのが視聴のきっかけだったが、やはり、山崎豊子であった。 主人公、万俵大介は阪神銀行頭取であり、財界の名士の一人。すでに地位も名誉も持っている大介はさらにその高みを目指し、政財界に陰謀をはりめぐらす。しかし、彼の内にある闇、疑惑と憎悪がその陰謀をさらに熾烈なものとし、万俵一族を巻き込んでいく、という山崎豊子得意の社会派ドラマ。 最初は、流し見程度に見ていたが、中盤のインターバルを挟んだ辺りからどんどん引き込まれていった。 見せかけ融資によって阪神特殊鋼が倒産に追いやられてしまったときには、そこまでやるのか、息子じゃないとしても弟じゃないか!と、大介の非情さに息をのんだ。 しかし、大介にとって鉄平は、妻を犯した憎い男の子どもである。そしてその憎い男が自分の父であるという事実は、彼の心を歪ませるに十分な闇を作り出してしまっていた。 その父への憎しみを長い間、妻妾同衾という形で妻に向け、さらに、父敬介にますます似てくる鉄平へと向ける大介。 銀行の吸収合併という表の野望の裏に潜む肉親への激しい憎悪。それが彼を新銀行の頭取という勝利者へと導いたが、同時に彼は本当の意味で「息子」を失った。そして、その勝利者の椅子さえも、温める暇もなく主を変えていく─。 どこにでもある(というと語弊があるかもしれないが)閨閥、銀行合併劇に、骨肉相食む一族の葛藤を絡ませたストーリーは秀逸である。 ただ、鉄平の自殺は突然だった気がする。そこに至るまでの苦悩が描き切れていない。 阪神特殊鋼の高炉建設を精力的に進めてきた鉄平が、父の裏切りによってその夢を絶たれ、絶望に打ちひしがれるのはわかる。しかし、仲代演じる鉄平はそんなことで負けるような男には思えなかった。もう少し、鉄平の絶望を表すシーンがほしかった。 その点では、木村拓也演じる鉄平は弱そうだ。といっても1回しか見ていないのだが。 もうひとつ、鉄平の死後の血液検査によって大介と鉄平が親子であった事実が判明するのだが、この親子判別方法はどうだろう? 血液型でわかるくらいなら、なぜ生前に調べなかったのか。大介も鉄平も疑いを持っていたのだから調べるのが当然ではないか。 鉄平の自殺。大介と鉄平の真実。崩れ始める万俵一族の閨閥。そして新銀行をターゲットに静かに動き始める再合併の動き。 万俵一族の没落の翳りをかいま見せるラストがよかっただけに、そこだけがもったいない。 そして、キムタク版「華麗なる一族」である。 映画および小説は1960年代が舞台であったが、このドラマは舞台を現代に移したものだとばかり思っていたので、ラストの親子鑑定はどうするのだろうと疑問に思った。 いまさら血液型が〜でもないだろう。やはりDNA鑑定かしらと思っていたら、時代は原作通り60年代だった。 なるほど、これだけの社会派ドラマとなると、時代を変えてのドラマ化はむずかしいかもしれない。 第5話を見ただけなので、あまり多くを語れないのだが、ひとつだけ。 高須相子(鈴木京香)が若すぎる。 相子は表向きは万俵家の家庭教師であるが、家庭内では大介の愛人である。それも妻妾同衾という妻寧子にとって屈辱的な関係を持ってきた。 それはひとえに、大介の妻(と父)に対する憎悪の現れであろう。 父に犯された妻がまもなく産んだ長男に「祖父」敬介はたいそう喜び、己の事業を継がせようと「鉄平」と名付けたのは容易に想像できる。 そして大介は、その長男を父の子ではないか疑う。大介の憎悪は鉄平の成長とともに大きくなっていったはずである。 その憎悪の現れが妻妾同衾であれば、15年前というのはいささか遅すぎないか。 15年前といえば、鉄平はすでに19歳である。そこまで鉄平が大きくなっていれば、憎悪の対象は鉄平に向くのではないか。同時に妻を憎んだとしても、いまさら妻妾同衾などという生々しい真似をするだろうか。 これが、30年前から続いているというのならわかる。 鉄平4歳。かわいい盛りである。その面差しが父敬介に似てくるにつれて、大介の脳裏にあの夜のことが生々しく蘇り、彼の内にどす黒い憎悪が渦巻く。そこに現れる美しい家庭教師。 相子をそのはけ口とし、やがてそれでは飽きたらず、妻妾同衾という形で妻を辱めるに至る。 19歳の息子を前にしてそのような所行に走れば、おやじがトチ狂ったとしか思われないのではないか。 家族中から総スカンを食らい、子どもたちは家を離れ、万俵家はその場で崩壊となってもおかしくないような気がする。 しかも相手は鉄平と5歳しか違わず、そんな女に閨閥婚を勧められても、いくら家のためとはいえ素直に従うとは思えない。 せめて25年、いや20年前からの関係で、相子44歳くらいならなんとか信憑性があったのではないか。 原作未読なので、相子の年齢がどのように設定されているのかわからないが、キムタク版を見た素直な感想である。(感想じゃないかな?) 映画版では京マチ子が高須相子を演じ、大介とそれほど年の離れた感じは受けなかった。 このキムタク版はどのようなラストを迎えるのだろう。 原作通り、つまり映画と同じラストを迎えるのか。なんとなくサプライズが隠されているような、期待と不安が胸の中にある。 PR |
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